2017年09月24日

パンの耳を売らなくなったわけ


不景気で客が貧乏になった

そのため、昔はタダだったパンの耳だけを買いに来るような客が増えてしまった

普通にパンを買えば500円そこそこすぐに無くなってしまう

パンの耳を買えばお腹が空いてそれを満たそうとする客はそれだけを買う


あるとき電話が鳴る「すみません、パンの耳は置いていますか?」

店員は答える「ありますよ、とっておきますね。」

客が来ると、客はパンの耳だけを購入して帰った。

その客はそれからも、わざわざ予約をしてたくさんあるパンの中から、毎回50円もしない、パンの耳をだけを手に取る

 店員とは別のパン職人は思う「私が作ったパンよりも、食パンの切れ端の方がいいのだろうか」

店員は職人の気持ちを気遣い、パンの耳だけを予約して買う客に他のパンの試食を勧めた

「いかがですか、このパンもおいしいですよ」

客は試食をむさぼるように食べ、うまいうまいと言った。

だが、客は「試食食べたら満足したからこれだけでいいです」と普通のパンを買わない言い訳をのこして

またしてもパンの耳だけを買っていった。


あるときから、その職人はそのパンの耳だけを予約して買う客に、憎悪の視線を向けるようになった

「この客がこの店にくるのは、パンが食べたいからではない、パンの耳が安く手に入ってそれで食費をおさえるためだ。私はこの客にパンの耳を与えるためにパン職人になったわけではない。決めた、もうパンの耳は客には売らない。」

またいつもの電話が鳴る

店員はそっと客に伝える「すみません、ウチはパンの耳だけの販売はしていないんですよ、食パンを買った方にサービスでつけてます」

パンの耳だけを買う客は「そうですか」と告げると電話が切れた。客は二度と来なかった。

今は余ったパンの耳はラスクにされ小奇麗な袋に入り、レジの横の小さな棚にグラニュー糖をきらきらと輝かせ並べられていた。

おわり

◆◆◆

客が来てくれるだけでありがたい。そう思う人もいる。だけど僕はこの職人の気持ちもわかる。
まぁ、僕なんですけどね。でもパンの耳だけでも売ってますけど。


「お宅の食パンをハトにあげると喜ぶのよ」といっつも言って食パンも買ってくおばちゃん。
これを言われた職人の気持ちはきっとこのおばちゃんにはわからない。

いつかそのおばちゃんが作った自慢の肉じゃが料理をお隣さんにおすそ分けしたきに、
お隣さんが「肉じゃがごちそうさま、ウチの犬が喜んで食べてたの、とってもおいしそうに食べてたわ」って言って器を返したら、その時はおばちゃんもきっと職人の気持ちをわかってくれると思って、期待してる。

まぁ、僕なんですけどね。


今日は遠くから、パンの機材を見に読者の方が来てくださいました。
ありがとうございました。みんな良い方向に向かいますように。

 それでは、パン助でした。



 
タグ:作文
posted by pansuke at 21:49 | Comment(2) | 開業前に必要な知識