2014年06月23日

パン屋で失敗する5つの裏技

 こんにちは、パン助です。

今日はリアルな赤字店舗の話です。

 あまり具体的な話を出すのは気が引けるのですが、僕のお店でも赤字店舗というのは存在します。
こうやって話せるのは、他店がまだ利益を生んでいてその利益で赤字店舗がなんとか回せるからなのです。
 
 人は成功談は本にして「パン屋で儲かる三つの方法」とかタイトルつけて、自分の体験談(自慢話>ノウハウ)を披露しますが、
失敗談はほとんど披露しませんよね。
 それこそ、「パン屋で儲からない3つ方法」とか本を出して、誰が買うんだよ!ってなりますよね。

実際にネットでパン屋の失敗を検索すると「失敗しない方法」となるぐらい、失敗をしないことを気にする人はたくさんいるのですが、失敗談はあまりみかけません。(というか、ネット検索は更新頻度の多いものや、アクセス数が多いものが上位に来るため、失敗して店を閉めたらそこから更新を繰り返すのは難しいので、やはりあったとしても見つかりにくいですよね。)
 
 というわけで、今回はパン屋が失敗する5つの裏技を紹介します!!

とそのまえに、この記事が今回の赤字店舗なのです。

 居抜き物件でパン屋を開業する際にかかる費用
http://pansuke.sblo.jp/article/75710017.html


僕がなんでもかんでも出来ると思ったら大間違い!
失敗だってしますよ。

ただ、僕は失敗に対しては人生の遠回りぐらいにしか思ってないのが凄い所!しかもそれをネタに、記事を書いちゃおうだなんて、ホントポジティブ!!(←自分大好きか!)

 
 さて、今回は20平米前後の、駐車場含めて家賃8万円の飲食店の居抜き物件です。
そこを改装して300万と準備費用でおおよそ380万円程かかって作ったのですが、この店舗の欠点を客観的に見てみましょう。

 僕はいつもお店に対して重要なのは「部屋とワイシャツと私」じゃなかった「味と接客と衛生観念」と言っていますが、これは最低基準でした。

 自分で言うのもなんですが、最低基準はクリアしています。スタッフが10年以上経験のある謙虚な方で、その方に主に任せているのですが、接客経験のあるスタッフと、味付けも自家製フィリングで優しい味付け、衛生観念はサンドウィッチもやっているのでとにかく毎日が洗浄ピカピカです。
 
 しかし、それはやっぱり最低基準、お客さんが来る上でその他にもたくさんの失敗要素が浮き彫りになってきたのでした。

それを細かく分析してみましょう。
 
■失敗する裏技その1「大きさ」

 まず店舗の大きさ。20平米とありますが、こうかかれてもピンとこない方は4m×5mの大きさ、と思ってください。
この中にミキサー、オーブン、ドゥコン、モルダー、テーブル冷凍庫、テーブル冷蔵庫、スライサー、その他トイレやシンク、ラックなども。

そして売り場が存在するのです。

 それはそれは狭いです。売り場面積が4平米(2m×2mぐらい、畳2畳分)しか無いので、ちょっと狭すぎた感が否めません。

この狭さの欠点は、お客さんが歩くスペースがほとんど無いという事です。
また、トレーに盛る形式ではなくて、店員が取る形式だったのも、お客さんが動かない原因につながっています。
 店に入ってからほとんど動かずに商品が見渡せるため、買い物をしているというよりは、図書館で本を探している様な感じの圧迫感と閑散さが連想されます。
 
 賑わっているお店って動線に沿って、トレーを持って並んでゆっくり進みながらパンを選ぶ印象がありますが、そういう動きが停滞しているので、来たお客さんが「買い物を楽しむ」という点において、動けない狭さというのはどちらかというとストレスに近いのだと思います。この部分がまず失敗。商品数にもよるけど、やっぱりパンをたくさんおきたいなら、30平米あるといいのかな、と思いました。(今後は製造場所を整理して売り場を広げる予定です。)


■失敗する裏技その2「営業時間」 

 営業時間はオフィス通りということもあって、平日だけなのですが、それは問題ありませんでした。
ただ、夕方以降まで営業することが、スタッフの都合上難しかったのが問題でした。
 個人店で一店舗だと、僕のお店なら僕が1人いれば夜でも営業できますが、自分がいないお店はそうはいきません。
僕がいる時にお店に強盗が入ったら、僕の方が借金でお金が無いので強盗の身ぐるみ履いてやろうと思いますが、スタッフはそうはいきません。

男性スタッフがいるなら一人でもいいのですが、パン屋は女性スタッフの応募がほとんどで、女性スタッフ一人で最後まで勤務というのは、正直怖いです。すき屋強盗では無いにしろ、女性が一人でお店にいる、という情報自体が出回るのが嫌なのです。

 

 実際に僕がアルバイトしていた飲食店も、夜間は男性スタッフが必ず一人はいるという配慮をしていたので、このことをふまえると、どうしても夕方以降にスタッフを2人雇うほどの余裕は無いため、営業時間を昼間に絞りました。

 そのため、仕事帰りに立ち寄る客層を捕まえる事ができず、ランチ商品に絞らざるを得ないため、客層の幅が狭まってしまいました。
できることなら、売り場を広げて売上があがれば、スタッフを増やして営業時間を増やす予定です。


■失敗する裏技その3 「商品価格」

 これは、大失敗でした。
商品価格を原価3割程度でいいと伝えていたのですが、消費税を抜いた原価に対して販売価格を設定。
 それにより、商品価格が安くなっていて、さらに販売価格は税別にしたはずが、勝手な手違いで全て税込み表示。
 
お客さんからすれば安いのですが、利幅が少ないので赤字を悪化させることに。
 僕自身がお店にいればすぐに気付けたことが、連絡ノートでの報告という形がほとんどだったため、現場を見ないという欠点が浮き彫りに。

 全て具材からパンから手作りのサンドウィッチが200円前後で売られていて、僕自信が「安すぎない?大丈夫?」と聞いてしまうぐらいでした。もちろん、大丈夫ではありませんでした。

 販売価格の改定については、新商品を出す際に少しずつあげていくのが有効だと思います。


■失敗する裏技その4「売り場づくり」

 これまた僕が人任せにしてしまったのが原因ですが、売り場づくりは経験が無いと難しいという事を明白に感じました。
そのいくつかをあげます。

売り場の商品の値段が無いものがいくつもあるのです。

 僕やお客さんが「なんで値段書いて無いの?」とすぐわかることでも、製造でいっぱいのスタッフにはそこまで気がまわりません。
よくみると、この棚のパンは全部○○円と、隅っこに書いた紙が置いてあって、「時間が無かったので、、、」という言い訳を聞くはめに。
 文字の書き方ひとつとっても、薄いペンで近くで見ないと読めない字で書いてあったり、カラーペンを多様しすぎて返って見辛かったり、小さいメモ用紙に書いたような落書き?と思ってしまうこともあります。

 チェーン店で働いていた時に、手書きのプライスカードは禁止、というのがあり、なんでだろうと思いました。
自分でプライスカードを書けばお客さんはわかりやすいし、温かみがあると思ったからですが、実際にはそういう人ばかりではないから、チェーン店は統一感も大事なので、色んな理由からできたことだと気付きました。

 売り場作りをする時は、客観的に知り合いや色んな人に見てもらう事が大事です。
お客さんはそんなこと教えてくれません。


■失敗する裏技5 「段差」

 僕自身段差はすごく気にするのですが、どうしても避けられない店舗と道路の境に段差がありました。
これは仕方が無いと思っていました。段差があることで、水はけもよくなったりするので。
 しかし、予想以上にその段差が高かったのです。階段一段ぐらいなのですが、あるとき僕が店によるとおばあちゃんが外にいました。
「いらっしゃいませ〜」と僕が言うと、なぜかおばあちゃんはお店に入りません。
中のスタッフに手招きしています。僕が聞くと「あたしゃ登れんじゃよ。」と。
僕が「登る?何を?」と思っていたら「ひざがあがらんじゃよ。」と言ったのです。

杖代わりのキャリーカーを持っているおばあちゃんは、わずか15センチの段差も超えるのが負担でした。
 
他にもスタッフに聞いてみると、ベビーカーのお客さんも、その段差を「フンっ!」と気合いを入れて上がってくると言っていました。

 それでも来てくれる大変有り難いお客さんなのですが、わずか15センチの段差により遠ざかった客足もあるかと思うと、ああ、失敗したな、と思いました。

 一応ベビーカーにはホームセンターに売っていた段差解消パット(スロープ)みたいなので対策をしましたが、おばあちゃんにとってはそのスロープも心臓破りの坂かもしれないので、外に呼び鈴でもつけようか迷っています。



 以上、今回は5つにまとめましたが、実際にこの中で得に大きいのは売り場づくりだと思います。

人に任せて初めて気付きましたが、僕自身スーパーの販売のバイトをやっていたので、お客さん目線というのを無意識に学習していたのですがある程度は誰でもできると思ってました。

 バイトでは接客から売り場の試食や商品陳列から、ポップを作成したりコピーを考えたりマイクで商品案内と期限チェックに在庫記録、そういえばバイトなのになんでもやっていたのが良かったのです。
 でもそのせいで、スタッフは主婦が多いので、主婦はスーパーで買い物するから、スーパーのお店作りなんてわかってるだろうと、勝手に思っていました。全然そんなことはありませんでした。スーパーは食材を買いにいく所で、売り場作りを学ぶ所では無かったのです。

 つまり、逆を言えば、売り場を経験していない人が売り場を作ると見落とすポイントが非常に多いのです。
これらは職人経験しかないパン屋にありがちですが、お客さん目線であるということは、サービスが行き届いているということです。

 
 ちなみに、気になるこの店舗の日商は予定では4万〜5万でしたが、現実は2万円前後、客数は30人前後、スタッフは製造含め3人なので単純計算で
 家賃8万(駐車場込み)、光熱費6万(営業時間が短いので低め)、人件費25万(サンドウィッチは野菜の漂白からパンを焼き、袋詰めまできちんとやるとかなり時間がかかります。)仕入れも20万円と、維持するだけでも約60万円の経費がかかり、それに対して売上は日商2万円×週5日×4週で、約40万円(実際は祝日休みと雨の日の売上が悪いのでもっと低い)

 と、毎月15万〜20万円の赤字と、かなり厳しい状況です。

よく、数ヶ月で店が無くなるのを聞いた事があると思いますが、こんな小さいお店でも毎月20万円も赤字ってぞっとしませんか?
年間100万円貯めるのだって大変なのに、毎年240万円もマイナスですよ。ぞっ。
 こんな淡々と冷静に記事にしてますが、本来なら悲鳴と奇声をあげてますよー。きゃー。


ただ、このお店は将来的には他店に卸すサンドウィッチを充実させるため、新商品開発にはかなり力をいれているので、人件費と仕入れがこの店舗にして高いのはこのためです。サンドウィッチのパンを本店で焼いたり、冷生地にすれば人件費も光熱費も抑えられるのですが、スタッフ自身は商品作りにはお客さんの反応がいいのでモチベーションはあり、僕自身売上に対しては商品さえしっかりしていれば今は気にしないでいいと言ってあるので、意外と楽しいみたいです。上司がいない職場ですからね。

 
 というわけで、今回は失敗する裏技を紹介しました。

是非皆さんも試してみてくださいね!もれなくぞっとします。

 嘘です。真似しないでね。

いつかは一発大逆転のルーズヴェルトゲームをお送りしますよ!

 それではパン助でした。

 
【パン屋の悩みの最新記事】
posted by pansuke at 04:26 | Comment(4) | パン屋の悩み
この記事へのコメント
 こんにちわ、なんかパン屋でも始めちゃおうかとか思ってるおまかせ太郎です。成功パン屋さんの失敗店舗例なんて参考になりすぎてジュルル
 1.は最初に悩む。対面かトングか。パン屋だけの悩みですね。できればトングだけど、不衛生だとかのたまうマダムとか...
 2.営業時間、オワリは変えられるけど、きついのは始業時間変更ではないですか?
 3.4.はオーナーが現場にいない特殊例かと。まずは、こんな特殊例になりたい。
 5.意外と大事なんだ、段差。健常者は絶対気が付かないね。参考になります。
 私はルーズヴェルトのほうがパン沢より好き
Posted by おまかせ太郎 at 2014年06月27日 20:37
おまかせ太郎さん
 こんにちわ!

「パン屋でも始めちゃおうか」なんていうと、真面目にやってる人に「軽っ!」って言われちゃいますが、開業自体はそのぐらい軽快の方が、いいかもしれませんね。僕も野球チームでも作ろうかな。維持経費に年間3億かかるそうですね。

僕の考えだと
 1はターゲット層によりますね。そう、マダムや高級店舗だと対面式ショーケースの所の方がいいのかもしれません。マダムは自分が動くより、店員に動いてもらう方を好みそうですね。

 2、こちらは無理の無いリズムで。
世の中には僕みたいな不規則な夜型の人もいれば、朝4時に自然に目が覚める人いますから。
 これも立地やターゲットと相談です。

 3、4はオーナーもしくは、店長、売り場責任者の方がいればいいのですが、とにかく売り場を360度、いや720度見渡せて、客観的に見れる人ですね。

 5、段差は大事ですよ。劇的ビフォーアフターでも毎回取り上げられるレベルです。今後の高齢化社会には必須かもしれませんね。

 まだまだあるのですが、一度に書ききれなかったので、またいつか追加しておきます。
Posted by パン助 at 2014年06月27日 23:19
540度、いや900度
 です。
Posted by おまかせ太郎 at 2014年06月30日 21:59
具体的でわかりやすいです!
面白いですね商売って!
Posted by at 2014年07月07日 23:42
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