2018年08月25日

パン屋で一番大切な事 (ひとり脳内会議その2)

 こんにちは、パン助です。

ブログ大臣「つづき・・・」 


それは、ある日の事でした。

静岡の僕のお店に、お客さんとして白人の外国人男性の方がやってきました。
その方は日本語が上手で、普通に話しかけてきました。


外国人「スミマセン?」
パン助「ハーイ?」

外国人「ここはアナタのお店デスカ?」
パン助「フンフ?ヤー、ソウデス(外国人に質問されて、日本語なのに英語っぽく答えるパン助)」

外国人「エー、、、ここに、アナタガ作ったパンはアリマスカ?」

パン助「はい、ありますよ、お店に売ってるパンは全部僕が作ってますよ(ニコニコ)」

外国人「ンー、、」

パン助「?」

外国人「ンー、、、ソウジャナクテ、、、ンー」

パン助「(何を言ってるんだコイツは、僕が作ってるのを疑ってるのか?)」



違った。
その外国人は自分の頭の内側にある日本語を必死にかき集めて、僕に伝えようとしてくれたのか、あるいは、その外国人は元々そういうパンを探してパン屋に来たようにも思えた。
そして、僕の顔を見てその外国人は言った。とても澄んだ青い目で。


外国人「、、、あなたのパンはありますか?」


この言葉だった。僕は、顔の表面でニコニコしながらその裏側はまるで大量に汗をかくような見透かされたような気持ちになった。

外国人が言いたいことは実にシンプルだった。
そしてとても大切な事だと思った。

僕のお店に並んでいるパンはどれも、どこかで見たことあるようなパンがほとんどだった。
僕が働いている時に教わったり、学んだパンを自分なりにちょっとアレンジしたものもあれば、クリームパン、アンパン、クロワッサン、フランスパン、それらはどれもどこかのお店に売っているような、定番そのものだったりした。
僕はそれでもおいしければいいと思っていた。

でも、僕はこの質問に必死に答えを探していた。
すぐに質問に答えなければと、頭の中をフル回転させて「僕のパン」「僕のパン、、、」と何回も検索しなおすように探した。

あのパンのレシピは教わったものだし、あのパンは中身はカネカの材料使ってるだけだし、クロワッサンもフランスパンも僕のパン?いや教わっただけでオリジナル要素は何もない。あれもこれも、、、あ、そういえばあのパンなら材料いくつもかき集めて調整して、自分が納得いったし、これなら、、でも、、、


まるで、うしろめたい気持ちでもあるかのように、あるいは否定されるのが怖くなってしまうかのように、僕は自分のパンですと胸を張って言えるものがほとんど無かった。その時は、土日に限定で売ってるパンを「今ここに無いのが残念です。あなたに食べさせてあげたかった、、、」と言わんばかりに悔しそうに言ってみせたが、内心ほっとしていた。その外国人に「これがあなたのパン?ハハン?ジャパニーズ猿まねジョウズねー」と鼻で笑われそうで(そんなことはないだろうけど)とにかく見透かされたようで辛かった。

誰かに教わったレシピや、市販にある材料、それらの組み合わせ、アレンジをしたパン達は、僕が胸を張って「あなたのパンだって?それなら僕が開発した、オリジナルのパン達です、どうぞ!!!」などと言えるわけが無かった。 


もちろんね、誰に教わったパンだろうが、丸パクリだろうが、クックパッドに載っていようが、おいしければそれでいいというのは事実だと思う。お客さんが喜ぶならそれも一つの答えだと思う。

でも、もしあなたがパン屋さんになるのなら、心の片隅に留めておいてほしい。
そして、この言葉に胸を張って答えられるパン屋さんになってほしいと思いました。



「あなたのパンは、ありますか?」


 
 それでは、パン助でした。
 
posted by pansuke at 01:23 | Comment(0) | 開業前に必要な知識