2012年10月26日

パンの製造の教え方の教え方

 こんにちは、パン助です。

去年のこの時期は、僕の店はアルバイトが入っては辞め入っては辞めで、商工会議所に毎回雇用保険の手続きに行くのですが、商工会議所の人が、「え、また人辞めたの?」と言うぐらい入れ替わりが激しく、なんと毎月一人は辞めて、2人投入、翌月一人辞める、みたいな流れでした。そのせいか、人件費に加えて求人雑誌の募集の面接と依頼で、とにかく忙しかったです。

 今年は、全員半年以上は働いているので、去年より2人少なくても断然ラクです。

そんな中、今また新しく2人の人を雇ったのですが、一人はとてつもなくスローリーで、一人はとってもフレンドリー。

 まぁ、最初なので僕はあまり強くは言いません。強く言った結果が去年の求人情報誌週刊連載祭だったので。
そして、毎回の事ながら、皆に成形を教えて行きます。しかし今回はもうすでに半年以上働いている従業員が複数いるので、皆で教えてもらうことに、僕は傍からみていました。すると、、、、

 従業員A「で、とりあえず、クリームを30g絞って、あとは適当に包んで、、、」

 新人「え?適当って、、、、」

 パン助「おい、A君、そんな適当って、そんな言い方じゃわからないだろ?」

 従業員A「え、でも、僕も店長にこうやって教わりましたけど、、、」

 パン助「!!!」


 そう、僕はそうやって教えていました。そうです、実は僕は過去のアルバイトも成形をやるときは色んな人からやり方を聞いて、色んなやり方や色んな解釈の仕方を身につけるためにと、わざわざ何度も同じ様な事を聞いていたりしたのです。その結果気付いた事は、、、

 まずは包んでみる事。

餡子だろうが、クリームだろうが、習うより慣れろ的な感覚でやってみて、そこからおかしな所を注意して治せばいいかな、と思っていたのです。だからA君には まずやってみて、という意味で、「じゃあ適当に包んでみて」と言っていたのです。そしてA君は意外と簡単にできてしまったので、まあいいか、とそのままあまり細かいことは注意せずにやってきたため、新人の子にも同じように「じゃあ適当で」という感じになってしまったのです。

 これはしまった。でも、この適当でという言い方で、わかるのは、従業員の観察力。教えると大体の人は教えている人の包んでいる所を見ます。人は、自分で気付いた所しかマネをしません。「僕と同じようにアンコを包んでみて」と言っても、手の形を同じようにする人、生地の持ってき方を観察する人、アンベラの動かし方をマネする人、指先の動かし方を真似する人、本当に様々です。

 これが同じように窯(焼成)になると、僕と同じように焼いてと言うと、言われた時間で焼く人、言われた時間で焼いてもパンが焼けてなかったら追加で焼くか聞いてくる人、パンの裏側までみたり、火力等も把握しようとするひと、様々です。卵の塗り方ひとつでも、生地に刷毛をぺちぺち音を立てて塗る人、側面は雑に塗る人、全部キッチリ塗る人、キッチリ塗るけど生地を傷めてしまう人、ホント様々。
 そういった意味で、その人がどのくらい観察力や注意力があって、どのぐらいの事を教えてあげれば良いかがわかる、と判断します。

でも、結果的に大事なのは精度なんですよね。どんなに早くても仕事が汚ければダメなんです。だってそれじゃあ将来にもつながらない、どんな仕事でもこの精度、完成度を高めようとする人はほとんどの仕事をうまくこなす事ができるけど、なあなあでやっていて仕事に魂を込められない人は、どんな仕事でもすっからかんです。でも僕は何もかもは教えません。そういう口でうまく伝えにくい事は、自分の仕事を見て気付いてもらうしかないと思っています。気付かないにしても、僕がそれを細かく言うと、もうそれはそれは超神経質モードになってしまい、神経をすり減らしてしまうので、僕自身も相当イライラするとわかっています。

 だからさりげなく、偶然にせよ良い物ができたら、「これすごい良いね!」と言ってます。でもA君は「はい?いつもと同じですけどw」みたいに言ってるけどね、、、とほほ。

 ちなみに僕がアルバイト時代に人の成形を見るとき(技術を盗もうとする時)は、とにかく多くの情報を入れようと、教えてくれる人の視線(どこを見ているか)と、手の筋肉の動かし方(手の甲をよく見ると指先が見えなくてもどの指のどこに力を入れているかわかります)、指先やアンベラの動かし方、後は全体的な姿勢とかリズムみたいなのを見てます。技術の高い人を見比べると、大体がこの辺が同じで、姿勢や流れる動きに無駄や無理が無いのがわかります。手の筋肉の動かし方はそこまで気にしなくてもいいですが、最終的にこういう形に自然となると、上達できたのかという目的というか完成図みたいなのを描いておくと良いです。また、そういう方が身近にいるとグッと緊張感が高まって技術が向上しやすいと思います。

 アレ、でもそれは自分が教える立場だと非常に困るな、、、。(一応僕の職場にはパン歴10年の先輩が週に一度来てくれるけど。)

で、今の若い人は、数ヶ月して慣れてくると、なぜかアンコやクリームのグラムを確認しなかったり、作業がいい加減になって来ます。なぜか現状で満足して自分はできると勘違いしてしまいます。その辺が僕にはあまり理解できない。
 
 例えば作業時間を測ってみると、パンの仕事をして半年、3年、10年と比べると、作業速度も精度も全く異なってきます。
単純に粉1kgの生地を50gや60gに分割して半分に分けて丸める作業にしても、従業員がパン歴半年、僕が3年、僕の先輩が10年なので比べてみると、僕が5分、先輩が4分、従業員が8分ぐらいでした。たった一つの作業でこれだけ時間の差があることに大して、僕はものすごく技術を洗練させることに期待を抱くのですが、人によっては全く興味を示しません。

 単純に一つの作業でこれだけ時間が違うという事は、パン歴10年の先輩が4時間かかる仕事に僕は5時間かかり、従業員が8時間かかるということです。実際には作業の段取りの構成力も無駄が無いのと、体力が無いとスピードが落ちてくるので、もっと差がでます。
 
 逆を言えば、僕は今よりも1.25倍早く正確に仕事をこなさないと、10年先の先輩には追いつけないのです。従業員は2倍の差です。いやむしろ、僕は1.25倍早くこなせば、10年先の先輩に追いつけるんだから、むしろむしろ燃えてくるはずなんです。今1秒かかる動作を0.8秒でやれば追いつけるんです!!(理論上はね。)

 でもそれを他人に強要してはいけない。いや心の中では強要したいけど、僕はそんなテンションはずっとはもたないし、従業員も低賃金で申し訳ない中それでも続けて頑張っているので、本当に社員になりたいとか、パンの道に進みたいならわかるけど、そうじゃないなら、今はそこまでは求めていません。そもそも自分がまだまだなのに、そんな事いえないのが本音だけど。

 そんなわけで、このブログを見ていて未経験だけどパン屋をやってみたいというあなた。
 パンは作れないけど経営してみたいというあなた、
 いかに経験が大事かわかったでしょうか?(パン助偉そうだな。)

新人とパン歴10年の人、単純に2倍以上の能力差です。そういう洗練された人が集まったパン屋と、パンを作れない経営者が作った未経験者が集まる冷凍生地のパン屋さん、先が見えるぜェ〜。


 なんだか教え方というタイトルから内容はそれてしまいましたが、まぁ、あまり点で考えずにトータルでみましょうよ。って。


 、、、だから教えるの苦手なんだろうなオレは。


以上、パン助でした。 
 

posted by pansuke at 23:48 | Comment(1) | パン屋の悩み